北海道・帯広市でしか見られない「ばんえい競馬」は、“力”と“駆け引き”で勝負が決まる特別なレース。重い鉄ソリを引きながら、直線200mのコースにある2つの坂を越えていく迫力は、普段競馬に馴染みのない人でも思わず息をのむほどです。
ただ、せっかく観戦するなら、ぜひ馬券を買って楽しんでほしい。自分が選んだ馬がいるだけで、レースの面白さは何倍にも膨れ上がります。
そこで当日、馬券を買って観戦を楽しむまでの手順を、初心者向けに分かりやすくまとめました。行く前に予習して、現地で迷ったらスマホで必要なところだけ読み返してひと安心。——お守りみたいに使ってもらえたら嬉しいです。
世界で唯一の競馬“ばんえい十勝”には、レースに好きな名称をつけた『冠レース』を開催できる「協賛レース」制度があります。自分で名付けたレース名が玄関の看板や出走表、馬券など、いたるところに載るから、観戦のテンションが格段に上がること間違いなし! ばんえいのレースがまさに“自分ごと”になるんです。 ...
Contents
ばんえい競馬──農耕馬の力比べをルーツとしたレース

ばんえい競馬は、北海道の開拓時代に活躍した農耕馬の「力比べ」をルーツに持つ競馬です。現在は世界で唯一、帯広競馬場のみで開催されています。ここでは、ばんえい競馬と一般的な競馬(サラブレッド競走)の違いを、かんたんにまとめました。
| 比較ポイント | ばんえい競馬 | 普通の競馬(サラブレッド競走) |
| 馬の種類 | ばん馬(重種馬)。フランス・ベルギーなどをルーツに持つ。 | サラブレッド。速さを追求して改良された競走馬。 |
| 馬の体格 | 体重は約800〜1,200kg。温厚で力強く、がっしりした脚が特徴。 | 体重は約400〜500kg。しなやかな体つきが特徴。 |
| レース形式 | 騎手は馬に乗らず、馬が引くソリに乗って手綱を操る。 | 騎手が馬に騎乗して走る。 |
| コースの特徴 | 直線200m。途中に坂(障害)が2つ。 | 周回コースが一般的。コースの長さは1,600〜2,200m程度。 |
| ゴール判定 | ソリの後端がゴールラインを越えた時点で判定。 | 馬の鼻先がゴールラインを越えた時点で判定。 |
一般的な競馬とは異なり、馬の体格からルール、観戦スタイルまで独自性が強いのがばんえい競馬。十勝らしい文化として長年親しまれてきました。
館内には観光客の姿も多く、いわゆる「ギャンブルの場」というより、ライトに楽しめる空気が流れているのも特色の一つ。「競馬はやったことがなくて……」という方にとっても、初めての体験にぴったりの場所です。
馬券を買ってレースを楽しむまでの流れを紹介

競馬を楽しむ人たちでにぎわう広い館内。初心者の私は「何から始めればいいの?」とオロオロしながらも、手がかりを集めてなんとか馬券を購入し、無事レースを楽しめました。
でも、戸惑いがあったのは正直なところ。行く前に買い方を少しでも頭に入れておけば安心です。そこで私の体験をもとに、初心者がつまずきやすいポイントを押さえながら「馬券の買い方」をまとめます。
競馬の世界は奥深いですが、ここでの内容は必要最低限だけ。「当日どう動けばいい?」が分かるように紹介します。
STEP1 入場したら、ひとまず出走表をゲット

帯広競馬場へは、観光スポットとしても人気の「とかちむら」を抜けて入場できます。

入り口にはゲートがあり「入場料が必要?」と少しドキドキするかもしれませんが、現在は入場無料。スタッフさんが笑顔で迎えてくれて、入りやすい雰囲気でした。

館内に入ったら、まずは入り口付近に置かれている出走表を1枚手に取ります。ここには発走スケジュールや出走馬など、その日のレース情報がまとめられています。

出走表は隅から隅まで読む必要はありません。

レース番号と発走時刻さえ押さえれば十分です。「今日はどのレースを見よう?」と迷ったときの、地図みたいな存在だと思っておきましょう。
STEP2 まずは広い競馬場内を味わおう

出走表を手に入れたら、まずは館内をぐるっと一周してみるのがおすすめです。ばんえい競馬は1日に複数レースがあり、だいたい30分おきに発走します。よほど「このレースだけは絶対観たい!」という狙いがない限り、焦らなくて大丈夫。
一周しながら「何がどこにあるか」を軽くつかんでおくと、馬券購入がスムーズになります。最低限チェックしておきたいのは、この2つだけ。
- マークカード(どの馬券を買うか書くやつ)
- 券売機(マークカードを入れて馬券を買う機械)
この位置関係さえ押さえておけば、まず困りません。

昔懐かしい大衆食堂の趣きがある「Kitchenばんえい」
小腹が空いたら食堂へ。メニューを眺めて「何食べようかな」と迷う時間も、帯広競馬場の楽しみのひとつです。手頃な価格のものが多く、観戦前の腹ごしらえにもぴったり。
食を楽しむなら「とかちむら」もおすすめ
競馬場に隣接する「とかちむら」も豚丼やラーメン、スイーツなど“食”の体験が充実しているスポット。お腹を満たしてから観戦したい人は、あわせてチェックしておくのがおすすめです。
とかちむらは、世界で唯一の「ばんえい競馬」を観戦できる「帯広競馬場」に隣接する観光スポット。十勝の魅力を一気に味わえる、観光の入口にぴったりの場所といえます。 産直市場で十勝産の旬の野菜や農産物、お土産を選んだあとは、飲食エリアで十勝グルメを堪能する。あるいは「馬の資料館」で、開拓と馬の歴史に...
STEP3 パドックで馬を観察
さあ、馬券を買う下準備としてパドックへ行ってみましょう。パドックは、レース直前に厩務員さんに引かれた出走馬たちが周回する「下見所」のこと。レースの約30分前から始まります。

馬が広場をぐるぐる歩くので、観客はそこで馬の様子を間近でチェックできます。いわゆる「勝つ馬を見抜く場所」でもありますが、初心者は気負わず「推し馬を探しに行く」くらいの感覚でOK。
難しいことが分からなくても、歩き方や表情を見ていると「この馬、なんか良さそう」と、直感が働くものです。
馬を観察するポイントは、ざっくりこのあたり。
- 毛ヅヤが良さそうか
- 目がキリッとしているか
- 頭をグッと上げて堂々としているか
反対に、落ち着きなくウロウロしていると「今日は不調なのかな?」と気になることもありました。
パドックは馬をゆっくりみられる機会です。観察するだけでなく撮影もOKですが、馬が驚くのでフラッシュはNG。声も控えめに。本番前の大切な時間なので、そっと見守るのが正解です。
STEP4 オッズを確認して、買う馬を決める
パドックで「この馬いいかも」と目星をつけたら、次は館内モニターでオッズをチェックします。
オッズは、的中したときの払戻金の倍率のこと。ざっくり言うと、オッズが低い=人気が高い(勝つ可能性が高いと見られている)、オッズが高い=人気薄(当たれば大きいけど難しそう)というイメージです。

パドックで「いい!」と思った馬が意外と人気薄でオッズが高く、少し迷うこともあるかもしれません。でもそこは好みでOK。直感を信じるのも、オッズを見て冷静に組み立て直すのもアリです。最終的に「この馬でいこう」を、決めましょう。
ここで私が気になったのが、騎手名の横に付いている「☆」マーク。

これは減量(馬の負担重量が軽くなる)の印で、有利に働く場合があります。ただし見習いなど経験の浅い騎手につくことが多いので、“軽くなるメリット”と“経験差のリスク”がセットという点は押さえておくと安心です。
STEP5 券種を決めて、マークカードを塗る(ここが一番不安)
まずは券種を決めます。初心者はいきなり全部覚えなくてOK。この4つだけ押さえれば十分です。
| 券種 | 何を当てる? | 例 |
| 単勝 | 1着の馬を当てる | 「5番の単勝」を買う → 5番が1着なら当たり |
| 複勝 | 選んだ馬が3着以内に入ればOK | 「5番の複勝」を買う → 5番が1〜3着なら当たり |
| 馬複 (馬連) | 1着・2着になる2頭の組み合わせ(順不同) | 「4-5」を買う → 結果が 1着4番/2着5番でも 1着5番/2着4番でも当たり |
| ワイド | 3着以内に入る2頭の組み合わせ | 「7-9」を買う → 結果が 7番と9番が両方3着以内なら当たり |
券種とどの馬に賭けるかが決まったら、場内に設置してあるマークカードを取り、流れに沿って塗るだけです。

4枚あるマークカードのうち、基本カードを選べばOK
マークカードの手順は以下のとおりです。
- 場名をマーク
- レース番号をマーク
- 券種をマーク
- 馬番号をマーク(2頭選ぶ券種は2頭目欄も)
- 掛け金をマーク(金額+単位)

この場合は、帯広・第5レース・複勝・6番と9番の馬に100円ずつ賭けるという意味。
塗りが薄かったり、はみ出したりすると券売機がうまく読み取れないことがあります。丁寧に、しっかり塗るのがコツ。近くに鉛筆が置いてありますが、ボールペンでもOKです。
ビギナーコーナーを活用しましょう
マークカードの記入方法に不安がある場合は、ビギナーコーナーを頼るのが安心。馬券の買い方から記入方法まで丁寧に教えてくれます。

「初心者だと思われたくない…」と感じる人もいるかもしれませんが、常に誰かが質問している状況なので、気兼ねなく使える印象でした。もちろん私も使ってみましたよ。
STEP6 券売機で馬券を購入
マークカードを塗り終えたら、いよいよ券売機で購入します。
※券売機は「購入のみ」と「購入+払い戻し対応」の2種類があります。

流れはシンプルですが、初見だと戸惑いやすいところ。
- お金を入れる
- マークカードを入れる
- 馬券が出てくる
初めてだと、つい先にマークカードを入れそうになるんですよね。私もワタワタしました(笑)

必要な分のお金を入れてから、マークカードを差し入れる。この順番が大切。
もしうまくいかなくても近くにスタッフさんがいて、手間取っていると声をかけて教えてくれるので安心です。締切は発走2分前まで。ギリギリは焦るので、少し余裕を持って購入しておきましょう。

少し戸惑う場面もありましたが、無事に馬券を買えました。
STEP7 レースをいざ観戦
馬券が買えたら、あとはレースを楽しむだけです。

ばんえい競馬で「どこを見る?」と聞かれたら、初心者ほどおすすめなのが第2障害。

迫力と駆け引きがいちばん分かりやすい場面で、重いソリを引きながら坂を登る瞬間は、応援にも自然と熱が入ります。
2階席での観戦もおすすめ
レース全体を見渡したいなら、2階からの観戦もおすすめ。レースは比較的ゆっくり進みますが、第2障害を下ってからのラストスパートは意外とスピード感があり、地上だと展開を追い切れなくなることも。その点、2階席ならスタートからゴールまでの流れを、しっかり把握できます。
STEP8 レース後──結果と払い戻しを確認
レースが終わったら、まずは結果を確認。館内のあちこちにモニターがあるので、どこにいてもチェックできます。もし的中していたら、払い戻しへ。「購入+払い戻し対応」の券売機を利用しましょう。

払戻機には「払戻中」の文字がはっきり表示されている。
当たり馬券を入れて、お金を受け取れば完了。この瞬間の高揚感が、ちょっとクセになります。
知るともっとレースが面白くなる!ばんえい競馬4つの魅力

ばんえい競馬には、ここでしか味わえない魅力があります。ポイントを知っておくだけで、レースの見え方がぐっと面白くなるはず。ここでは観戦が楽しくなる4つの魅力を紹介します。
2つの障害を巡る、力強さと戦略
最大1トン級のソリをひいて進むばん馬の姿は圧巻。でも、ただ力が強いだけでは勝ち切れないのが面白いところです。見どころは、2つの障害を越えるときの駆け引き。特に高さ1.6mの第2障害では、手前で息を整える「刻む」、一気に登りきる「ひと腰」といった作戦があり、騎手の判断と技術が勝敗を分けます。
歩きながら観戦できる臨場感
通常の競馬よりレースの進みがゆっくりなので、観客はコース脇を馬の歩みに合わせて一緒に歩きながら観戦できます。
スタンドとコースの距離も近く、坂を登る息遣いや騎手の掛け声が届くほど。自然と声援に熱が入る距離感こそ、ばんえい競馬ならではの面白さです。
歴史と文化の継承
ばんえい競馬は、北海道の厳しい開拓期を支えた馬文化を今に伝える存在です。競馬離れや景気後退の影響で一度は廃止の危機に直面したものの、市民やファンの声、民間の支援によって存続が決まりました。
レースだけでなく、地域の人々に守られてきた背景ごと味わえるのも魅力。さらに深く楽しみたい人は、帯広競馬場に隣接する「とかちむら」内の馬の資料館にもぜひ足を運んでみてください。

開拓期の暮らしと馬の関わりを知ると、レースの見え方も変わってきます。
とかちむらは、世界で唯一の「ばんえい競馬」を観戦できる「帯広競馬場」に隣接する観光スポット。十勝の魅力を一気に味わえる、観光の入口にぴったりの場所といえます。 産直市場で十勝産の旬の野菜や農産物、お土産を選んだあとは、飲食エリアで十勝グルメを堪能する。あるいは「馬の資料館」で、開拓と馬の歴史に...
オリジナルレースを開催できる(協賛レース)
ばんえい十勝には、レース名に好きな言葉をつけて冠レースを開催できる「協賛制度」があります。観戦するだけでなく、記念日や節目を“レース”として残せるのが面白いところ。出走表や馬券にレース名が載るので、当日の高揚感も一段上がります。

協賛というと企業のPRのイメージが強いかもしれませんが、個人でも1口1万円から申し込めるのがうれしいポイント。思い出づくりにもなりつつ、ばんえい競馬の応援にもつながります。
世界で唯一の競馬“ばんえい十勝”には、レースに好きな名称をつけた『冠レース』を開催できる「協賛レース」制度があります。自分で名付けたレース名が玄関の看板や出走表、馬券など、いたるところに載るから、観戦のテンションが格段に上がること間違いなし! ばんえいのレースがまさに“自分ごと”になるんです。 ...
初心者でも気軽に楽しめる、観光気分のばんえい競馬

ばんえい競馬は、他の競馬に比べて観光の色が強く、ギャンブル目的だけではなくライトにレースを楽しむ人も多いのが特色です。競馬が初めてでも気軽に楽しめます。
初心者がつまずきやすいのは「券種を決める → マークカードを作る → 発券機で買う」までの流れ。慣れていないと手順に戸惑いがちです。この記事で買い方を予習しておくだけでも当日の動きがラクになりますし、現地で分からなくなったらビギナーコーナーを頼ればOK。
最初の一度流れをつかめば、次のレースからは観戦に集中できて、ばんえい競馬の迫力と駆け引きを存分に楽しめるようになります。













