「帯広といえばインデアンカレー」。近年、テレビやSNSで取り上げられる機会が増え、全国的にもその名が知られるようになりました。しかし、このカレーがなぜ十勝・帯広で生まれ、なぜ半世紀以上にわたって“ソウルフード”として地元に根付き続けているのか。その背景まで語られることは、決して多くありません。
インデアンカレーの店舗は、十勝管内と釧路市に限定されています。観光向けに消費される存在ではなく、あくまで日常の延長線上にある味。だからこそ、帯広の人々の暮らしや価値観と深く結びつき、独自の文化を育んできました。
観光客にとっては名物であり、地元にとってはいつもの味。インデアンカレーを通して、十勝・帯広の“日常としての食文化”を覗いてみてください。
旅先で楽しみなのは、その土地ならではの“おいしいもの”との出会いですよね。帯広には、必ず食べてほしい三大ソウルフードがあるんです。炭火で香ばしく焼いた豚丼、地元の人に愛され続けるインデアンカレー、そして道東スタイルのジンギスカン。どれも、帯広の暮らしと切り離せないソウルフードです。それぞれの魅力やお...
Contents
インデアンカレーは帯広の食卓を支えるインフラ

十勝・帯広で暮らす人にとって、インデアンカレーは日常の選択肢です。スーパーで野菜を買うように、会社員のルーティンランチ、夕食をどうするか悩んだ日の助け舟としても、選ばれます。
インデアンカレーは、創業のルーツである老舗洋食店「ふじもり」で、もともと提供されていたカレーが人気を集めたことからチェーン展開へとつながりました。現在も「ふじもり」にはインデアンカレーを使ったメニューが残っています。
十勝・帯広で暮らす人々は、インデアンカレーの利用頻度がとても高いです。週に一度という人もいれば、三日続けて食べても不思議と飽きないという声もあります。まるでファストフードとでも呼べるようなポジションですが、同時にソウルフードとしての愛され方も併存しています。
特別な存在ではないのに、日常に深く刻まれている。十勝・帯広で暮らす人にとってインデアンカレーはあるから行く店であり、必要だから選ばれる店でもあります。観光の視点では見落としがちな、生活のリアリティに寄り添った存在なのです。
十勝・帯広の日常が詰まった、
インデアンのカレー文化
インデアンカレーが十勝・帯広で愛されてきた理由は、味や価格だけではありません。そこには、この街ならではの生活や価値観が深く関係しています。
インデアンカレーが「カレー店」を超えて、十勝・帯広の暮らしの一部として使われてきた背景を、具体的な習慣から紐解いていきます。
鍋を持参して持ち帰る

他の地域に住む人に驚かれるのは、自宅の鍋を持って店へ行くと、そのまま鍋にルーを入れてくれること。この“鍋持参文化”は1968年の1号店オープン以来、根付いている習慣です。
お店の容器に入れてテイクアウトも可能ですが、鍋を持参すれば容器代がかからずに持ち帰りができます。
鍋でカレールーを持ち帰れば、少しだけ食べるお子さまや、大盛りで食べたいお父さんなど、それぞれの量を調整しやすいのもメリットです。
イベントや社内での大量注文
インデアンカレーは大人数での利用とも相性が良く、学校行事や地域イベント、会合などの腹ごしらえとしてまとめて注文されることがあります。
早く提供できる、辛さも変更できる、そして、みんな大好きな味。だから大人も子供もみんなで食べられます。
十勝・帯広に住む人なら、「子供の頃学校行事で食べた」という経験がある人も多いのではないでしょうか。
新たな文化となりつつある、冷凍ルーが登場

2023年10月から、冷凍ルーが販売されるようになりました。初めは販売店舗が1店舗に限られていましたが、現在は12店舗と、ほとんどの店舗で購入できます。
これを購入しておけば、食べたい!と思った時にすぐにあの味が堪能できる。
お店にはない自分好みのトッピングをする、なんて楽しみ方もあります。
十勝・帯広出身で遠方に暮らしている人は、実家からの仕送りに冷凍カレーをお願いするということも多いそう。
観光客の方でも、保冷バッグや郵送のサービスもあるのでお土産としての購入も可能。
冷凍商品について詳しくは、この後ご紹介します。
自分好みにできる、インデアンカレーのカスタマイズ
インデアンカレーは、選び方を知ると、さらに楽しめます。
ルーの種類、トッピング、辛さ、量——。好みやその日の気分に合わせて自由に組み合わせられるのが魅力。初めて訪れる方でも戸惑わず注文できるよう、インデアンカレーならではのカスタマイズをご紹介します。
まずはルー選びから

インデアンカレーではインデアンルー、ベーシックルー、野菜ルーの3種類があります。
ベーシックルー:ビーフのエキスが溶け込んだルーに玉ねぎを加え、旨味と甘味をひき出したシンプルなカレー。どんな具材にもマッチする。
野菜ルー:大ぶりなじゃがいもと人参、玉ねぎが入ったカレー。素朴な優しさを感じさせる味わい。
各メニューに使用されているルーの種類は異なりますが、カスタマイズが可能。例えば、「エビ」を注文すると、ベーシックルーで提供されますが、「インデアン」に「エビトッピング」と注文すると、インデアンルーのエビが提供されます。
メニューには書かれていないですが、地元の人がよくする注文の仕方です。ルーの種類は人それぞれ好みが違うので、十勝・帯広に住む人たちの会話で「私はベーシック派!」「僕はインデアンルーしか食べない!」なんて会話もときどき繰り広げられます。
トッピングで自分好みの一皿に
インデアンの楽しさをさらに広げてくれるのがトッピングです。
トッピングには、
があります。
トッピングは好きなだけ、好きな量で注文可能。「ハンバーグ2!」や、欲張りな人は「全部のせ!」もできちゃうのが面白いところ。

また、テーブルにおいてある薬味3種にも注目です。福神漬け、ガリ、みどりのやつ…
名前を知らない人が多いであろう「みどりのやつ」。その正体は、青じその実、大根、きゅうりを混ぜ合わせた漬物。これが美味しい!とたくさん乗せる人が多いです。
これらの薬味はどれもカレーとの相性抜群!シャキシャキとした触感も加わり、より絶品になるのです。

辛さと量も自由に調整

辛さは5段階から選ぶことができます。
辛味が苦手な人から、辛党まで幅広くカレーを楽しめます。
極辛は辛党の人が食べても本当に辛いので、辛さに自信のある人はぜひチャレンジしてみてください。

また、テーブルには唐辛子オイルが置いてあります。カレーの味を壊さず、辛味を加えられるので、ルーの辛さは控えめに、食べながら唐辛子オイルをかけて調整するのもおすすめです。
量もお好みの量で注文できます。
大盛:400g
大盛の大盛:680g
少なめ:200g
この他にも、少なくしたい場合は「ライス半分」「ライス100g」などと、オーダーも可能です。ただし、少なくしても値段は普通盛と変わりませんのでご注意を。ご自身のお腹と相談して、量を決めてくださいね。
旅の途中でも迷わない、インデアンの店舗選びガイド
インデアンカレーは帯広市内を中心に複数店舗がありますが、「どこに行くか」で使いやすさが変わります。
人数や移動手段に合わせて、店舗の選びやすいポイントを整理します。
帯広駅周辺で完結したい場合
・エスタ帯広店(帯広駅内)
・まちなか店
帯広市の中心部、帯広駅からあまり離れずに行動したい場合は、駅周辺店舗を選ぶと移動の負担が少なく済みます。バスなど公共交通機関を利用する方でもアクセスしやすく、短時間滞在でも組み込みやすいのがメリットです。
また、インデアンカレー発祥の老舗「ふじもり」も、まちなか店とエスタ帯広店の中間ほどに位置しているので、ふじもりでカレーを食べることもできます。
ただし、ランチタイムはどの店舗も、平日でも混み合っていることが多いので、時間に余裕を持って来店しましょう。
車移動なら駐車場の止めやすさ重視
・なつぞら店(道の駅おとふけ内)
・東5条店
・札内店
・西18条店(スーパーぴあざフクハラ内)
・西21条店
・MEGAドン・キホーテ西帯広店(MEGAドン・キホーテ内)
・芽室店
・みなみ野店
・音更店(スーパーぴあざフクハラ内)
レンタカーや自家用車で移動する場合は、 駐車場がある店舗を選ぶと使い勝手が良いです。ほとんどの店舗の駐車場が広く、出入りもしやすいため、昼食や夕食の時間帯でも比較的スムーズに利用できます。複数人での来店や、持ち帰り利用にも向いています。
実は、まちなか店にも駐車場はありますが、3台ほどしか停められないので、あまりおすすめしません。
お子さま連れ・家族旅行・3人以上の場合
・まちなか店
・なつぞら店(道の駅おとふけ内)
・西18条店(スーパーぴあざフクハラ内)
・西21条店
・MEGAドン・キホーテ西帯広店(MEGAドン・キホーテ内)
・芽室店
・音更店(スーパーぴあざフクハラ内)
インデアンカレーにはカウンター席のみの店舗がいくつかあります。お子さま連れや3人以上の場合などは、ボックス席がある店舗を選んだ方がゆっくり食事ができますね。
なつぞら店は、道の駅おとふけのフードコート内にあるので、他の店舗のボックス席とは異なります。フードコート内の空いてる席を見つけて利用するスタイルです。

ちなみに、エスタ帯広店(帯広駅内)には、唯一の立ち食いテーブルが設置されています。帯広駅内という事もあり、列車乗車前にサクッと食べたい人に向いています。
番外編 新しいインデアンカレーのかたち「こんにちは」

インデアンカレーを運営する藤森商会が、2025年7月、帯広市にある藤丸パーク内に「TokachiSpiceこんにちは」をオープンしました。
ここで味わえるのは、ふじもりやインデアンカレーでは提供されていない限定メニュー。看板の「特製キーマカレー」は、インデアンのベーシックルーをベースに、 ひき肉と玉ねぎを加えた一皿です。

「インデアンまん」も人気のひとつ。インデアンルーを使い、音更町産の牛肉と地元産玉ねぎを包んだ餡を、十勝産小麦のほんのり甘い生地で包んだ、ここでしか出会えない味わいです。カレー風味の鶏唐揚げやアルコールの提供もあり、食事だけでなく立ち寄りやすい空間になっています。
※藤丸パークは、屋外施設のため冬季期間は休業しています。(夏季オープンは公式サイトや、Instagramで公開されます)
十勝・帯広の思い出を持ち帰る、
インデアンカレーのテイクアウト
インデアンのカレーは、店舗で食べて終わりではありません。最近では冷凍商品が登場し、十勝・帯広を離れてからも自宅で“あの味”を楽しめるようになりました。
十勝・帯広の思い出を、食卓でゆっくり思い返す——そんな土産としての役割も担い始めています。
冷凍カレーで自宅に持ち帰る

先にも紹介したように、インデアンカレーは冷凍でも販売されています。ルーは3種類のうち「インデアンルー」をベースに、冷凍でもお店の味を楽しめるよう作られました。
冷凍カレーは1袋から購入できるほか、4袋入り、10袋入りの箱も用意されています。通信販売は行っておらず、購入できるのは店頭のみ。ただし、保冷バッグに保冷剤を入れれば3〜4時間ほど持ち運びが可能なので、旅の帰路でも無理なく持ち帰ることができます。
ほとんどの店舗で冷凍カレーが販売されていますが、「札内店」「西18条店」では販売していないため、ご注意を。(2026年1月現在)

また、「エスタ帯広店」「なつぞら店」では、冷凍のインデアンまんも販売されています。藤丸パーク内「こんにちは」での販売開始以降、大きな反響を呼んだインデアンまん。インデアンカレーの、新しい楽しみ方として注目されています。
1個から購入もできますが、「エスタ帯広店」「西21条店」では、8個入りの箱でも販売されています。お土産やギフトにぴったりです。
贈答用の冷凍ギフトセット
エスタ帯広店・西21条店では、冷凍カレーとインデアンまんを組み合わせたギフトセットが販売されています。冷凍インデアンまん8個と、冷凍インデアンカレー4個入りがセットになった内容で、発送限定の商品として用意されています。
また、「エスタ帯広店」限定で、冷凍カレーを配送することが可能。
全国にファンの多いインデアンカレー。遠くに住む方に送ればきっと喜ばれます。
一皿のカレーで感じる、帯広の生活体験

インデアンカレーは、観光客のために用意されたものではなく、ただ十勝・帯広の暮らしのすぐそばに在り続けてきた存在です。鍋を持って受け取る人、夕飯の選択肢として迷わず選ぶ人、イベントや職場で当たり前のように並ぶカレー。そこには、地域の生活リズムや価値観が、そのまま映し出されています。
一皿のカレーを通して触れるのは、味だけでなく、この地域の日常そのもの。
インデアンカレーを食べることは、十勝・帯広を“観光する”のではなく、ほんの少しだけ“暮らしてみる”ことなのかもしれません。















