広大な自然と四季折々の絶景で人気の北海道。札幌や旭川、富良野、美瑛、ニセコといった観光地はよく知られていますが、実は、帯広・十勝エリアも見逃せない魅力にあふれています。
北海道5大都市のひとつである帯広市は、人混みを避けてゆったりと旅を楽しみたい方にぴったり。これからの季節は、美しい紅葉や一面の銀世界といった、北海道ならではの雄大な景色を満喫できます。さらに十勝には、自然の中で心身を癒せる名湯も点在。なかでも最も歴史のある温泉「芽登温泉(めとうおんせん)」を訪れ、日本の季節を先取りしてみませんか?

北海道足寄町の山あいにある「芽登温泉」は、120年以上の歴史を誇り、「日本秘湯を守る会」にも加盟する名湯。2025年、その未来を託された(事業承継予定)のは一組の若い夫婦、中村建一郎さん(32歳)と里紗さん(3...
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知る人ぞ知る、昭和レトロな風情の「芽登温泉」へ
「芽登温泉」があるのは、そこから車で1時間40分ほどの森の奥です。北海道最高峰の旭岳(2291m)を擁する大雪山国立公園、アイヌ民族の文化が根付く阿寒摩周国立公園などに彩られています。
芽登温泉までは、有名な観光地である富良野・美瑛からレンタカーで約2時間ほど。
札幌市郊外にある新千歳空港から最寄りのJR帯広駅までは、公共交通機関のJR特急列車で2時間30ほどの好アクセスです。
ただし、旅行ガイドブックではあまり紹介されない“秘湯”であり、旅行者もまばら。大型バスに乗った団体客が押し寄せることもありません。森の中にたった一軒だけ、トレンドの“昭和レトロ”を彷彿とさせる、非常に趣あるホテルが佇んでいます。
ホテルの周囲にあるのは、手つかずの大自然だけ。電波が届きにくいことから、スマートフォンの電源を切って、ゆったりとした気持ちでオフライントラベルを楽しむのにうってつけです。旅慣れた、通向けのデスティネーションといってもいいでしょう。
西暦1904年開湯。
川の水辺に湧く、湯量豊富な源泉を贅沢にかけ流し
「芽登温泉」は、温泉文化を継承する組織「日本秘湯を守る会」に加盟するホテルです。
内湯と露天風呂の合計7つがあり、日帰り入浴と宿泊者向けの両方で、ホスピタリティ溢れるサービスを提供しています。西暦1904年から120年以上にわたって“湯治の湯”として親しまれ、源泉100%の良質な湯でリラックスすることができます。
露天風呂は時間帯によって男性・女性専用に分けられています。また、混浴、家族や友人との貸し切り入浴も選択可能。ちなみに、温泉では裸で入浴するのが一般的ですが、「芽登温泉」では混浴での入浴時に湯浴み着を貸し出しているため、ジェンダーを問わず誰もが安心して湯浴みを楽しむことができます。
入浴中は、ホテルの目の前を流れる渓流のせせらぎが良きBGMとなり、リラックス効果を高めてくれます。さらに、シマリス、シマフクロウ、日本では北海道にしか生息しない希少なエゾモモンガ(モモンガの一種)など、森の動物たちが顔をのぞかせることも。一緒に入浴したり、嬉しいハプニングが起きるかもしれません。
MATOKA編集部が最もお勧めするのは、冬シーズンの「芽登温泉」です。雪深い北海道ならではの幻想的な“雪見露天風呂”は、決して期待を裏切らない感動的な経験になるはずです。
個人経営の宿ならでは。
アットホームな雰囲気と心尽くしのもてなし料理
「芽登温泉」には現在、7つの客室があります(離れのコテージを含む)。収容人数は20人程度と小規模な、個人オーナー経営のホテルです。観光地で人気を集めている有名ブランドホテルや高級チェーンのような華やかさには欠けますが、その分、個性があり、ファンとして応援したくなるような魅力が詰まっています。
たとえば、夕食に振る舞われる料理もこだわりの一つです。北海道産の和牛、毛ガニといった贅沢な高級食材を取り入れつつも、どこか“懐かしい家庭の味”を思わせる和食のラインアップ。季節変わりの新鮮な食材も膳を彩り、目と舌で味わい、心で楽しむ、日本料理の醍醐味を味わうことができます。また、ゲストの人数が少ない分だけ、一人ひとりのニーズに寄り添う細やかなサービスを提供してくれます。
老舗ホテルの伝統を重んじつつ、
若き経営者を迎えより快適な宿へリニューアル
古き良き日本の温泉文化を継承する「芽登温泉」ですが、現代のホテルに求められる利便性を備え、日々アップデートし続けています。趣のある本館は、家族連れやシルバー世代の旅行で利用しやすいようリノベーション。一方、2024年に完成したばかりの貸し切りコテージは、プライベート重視のカップル、若年層のグループ旅行にお勧めです。
2025年の夏、「芽登温泉」は将来を見据えて、温泉事業を継承する次期経営者として30代の夫妻を新たに抜てき。次世代を担う彼らは、若者特有のスマートかつ柔軟な感性と、一流リゾートホテルでの接客経験を持ち合わせたホテル業界のエキスパートです。この革新的な人事によって包容力を一層高め、より多くの宿泊者を温かく迎え入れる準備が整いました。
こちらが、1日1組限定の貸し切りコテージです。客室専用の露天風呂とサウナ、キッチンなどを備えたモダンな空間が広がり、ほかの宿泊者に気兼ねなく、気ままに別荘気分を謳歌することができます。もちろん、露天風呂も天然温泉なので、きっと旅の疲れを癒やしてくれるでしょう!
【INFORMATION】
電話番号:0156-26-2119
開館時間:チェックイン15:00/アウト10:00、日帰り入浴11:00〜18:00
アクセス:JR帯広駅から車で約1時間40分
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日などの情報については変更する場合がございますので、事前にご確認ください。