北海道・帯広に、海外の美食家が足を運ぶレストランがあります。
アジアトップクラスのレストランを訪れたフーディーが「北海道でナンバーワン」と絶賛し、7年以上通い続けるリピーターもいる店 – それが「yoshiyuki」です。
提供されるのは、北海道・十勝の食材から生まれる、ジャンルにとらわれないイノベイティブなコース料理。
氷点下で採取される山わさびの鮮烈な辛味。柑橘と山椒を思わせるアイヌの香辛料・シケレベの清涼感。十勝の風土を閉じ込めた一皿が、五感を刺激する。
ここで味わえるのは、単なるディナーではなく、まだ知らない十勝に出会う「体験」です。
Contents
料理のこだわり|生産者と紡ぐ、まだ知らない十勝を発見する10皿

yoshiyukiは、帯広駅から徒歩約5分。立ち並ぶビルの合間にひっそりと佇む平屋の奥にあります。
「テーマパークを訪れた時のように、わくわくして、驚いて、感動してほしいんです」
そう語るオーナーシェフの西島さんが目指すのは、北海道・十勝の食材と自身の感性から生まれる料理を五感で味わう、ここだけの「体験」です。
料理は、いわゆるフレンチやイタリアンといった枠には収まりません。シェフ自身が「イノベイティブ(現代風)料理」と表現する10皿のコース料理です。メニューは季節に合わせて年4〜6回変わるため、訪れるたびに新しい出会いがあります。
使用する食材の99%は北海道産。信頼する生産者から届く希少な素材を使い、野菜や肉、魚介、乳製品、ハーブが皿の上でアートのように組み立てられ、香り、温度、食感まで緻密に設計されています。
西島さんが特に重視するのが「香り」です。
「料理は見た目の美しさはもちろん、香りも大切です。地元の食材でどこまで表現ができるか、挑戦し続けています」
幕別の農家が丹精込めて育てた、北海道では珍しい柚子や、氷点下の厳しい寒さの中で収穫された山わさびなど、十勝の風土を映す香味が、立体的に立ち上がります。

山わさび
ある日の前菜は、松の葉を思わせる繊細な形のプリッツでした。庭の植生から着想を得たその造形に、まず目を奪われます。使われているのは、アイヌが魚料理に用いてきた香辛料「シケレベ」。柑橘と山椒を思わせる清涼感のある香りが特徴の、この地ならではの素材です。
目で驚き、食感を楽しみ、香りに包まれる。コースのはじまりにふさわしい一皿に、たちまち五感が目覚めます。
西島さんの姿勢に動かされた生産者もいます。大樹町の海水から、お店のために特別に塩を作り届けてくれる生産者も。料理に寄り添うワインや日本酒、焼酎も北海道産にこだわり、ペアリングで提供しています。
「おいしいものは東京にいくらでもある。でも、ここでしか味わえない一皿を体験してほしいんです」
単なる地産地消ではなく、十勝の土地と人の情熱が込められた一皿です。
現在に至るまでの道のり|遅咲きのスタートから辿り着いた、ここでしか体験できない料理

西島さんが料理の世界に飛び込んだのは26歳。決して早いスタートではありませんでした。アパレル業界から転身し、月給7万円で札幌の飲食店に就職。ゼロからの修行が始まりました。
30歳で地元・帯広に自身の店をオープン。当初はパスタ中心のイタリアンでしたが、料理と向き合うほどに、探究心が強まり、コース料理が持つ世界観に魅了され、次第に現在のコーススタイルへと進化していきました。
大きな転機となったのが、ミシュランガイド北海道版の登場です。地方にもミシュランが訪れることに衝撃を受け、探究心に一気に火がつきました。「ここでしか体験できない料理」を追い求めた末にたどり着いたのが、ジャンルに捉われないイノベイティブ(現代風)料理です。
試行錯誤を重ね、2017年にミシュランガイドへの掲載を果たします。しかし、星を逃した苦い経験が、さらなる探究の原動力になりました。
海外からのお客様を歓迎する理由|国境も言葉も越えた、人と人の交流

yoshiyukiは道外からのお客様が多く、来店客の8割を占めます。7年ほど前から海外からのお客様も訪れるようになり、海外のフーディーからも高い評価を受け、2025年は全体の1割が海外からのお客様でした。
特に韓国からの来店が多く、香港や台湾からも足を運ぶ方がいます。西島さんは、そうした海外からのお客様を心から歓迎しています。
西島さんが海外からのお客様を歓迎する理由は、「インバウンド需要」だけではありません。国籍も言語も関係なく、人として交流できることが嬉しいのだといいます。
韓国から訪れる常連客の中には、来店のたびにお土産を持ってきてくれる人もいます。品物よりも、そこに込められた親愛の気持ちや敬意がまっすぐに伝わってくることが、何より嬉しい。その気持ちに応えたい、もっと喜んでもらいたい -そんな思いが自然と湧いてくるといいます。
「貴重な旅の機会に、この地を選んで来てくれている。だからこそ心を込めて迎えたいし、思いきり楽しんでもらいたいです」
遠くから足を運んでくれたお客様にプロとして満足してもらうことで、仕事が生まれ、雇用が生まれ、町が元気になっていく。西島さんはそんな循環を信じながら、お客様を迎えています。
海外のお客様をお迎えするために大切にしていること|正確な翻訳よりも伝えようとする姿勢

yoshiyukiでは、翻訳アプリや英語対応できるスタッフを用意するなど、言語面でのサポート体制を整えています。必要があればスタッフが間に入り、料理やコースの説明を翻訳することもできるので、海外からのお客様も安心して食事を楽しめます。
けれど、西島さんが本当に大切にしているのは、仕組みよりも「伝えようとする姿勢」です。産地や調理の背景まで自分の言葉で伝え、ここでの食体験を心から楽しんでもらうこと。そのために、あえてアプリに頼り過ぎず、片言の英語やジェスチャーを使いながら、料理への想いを直接届けるように意識しています。
来店前に知っておきたいポイント

来店は完全予約制です。メール、電話、食べログから受け付けており、日本語・英語どちらでも予約できます。お店からの返信も、必要に応じて英語で対応しています。
一晩に来店するのは2名×4組、計8名ほどの場合が多いですが、最大14名まで対応可能です。個室も用意しています。
場所は帯広駅から徒歩約5分。向かいには姉妹店のセレクトショップ(THE NORTH FACE PURPLE LABEL正規販売店)もあり、特に韓国の若い世代から好評です。
コースは12,000円。消費税10%とサービス料10%を別途頂戴しています。クレジットカードも利用可能です。
アレルギーや食材制限がある場合は、予約時に必ずお知らせください。
また、料理の香りを大切にしているため、香水はお控えいただいています。
変更・キャンセルはご予約日の4日前までにご連絡ください。3日前以降は料理代金の100%のキャンセル料が発生します。

十勝の食材と、生産者、探究を続ける料理人の情熱。yoshiyukiで味わうのは、料理を超えた、この土地ならではの体験です。
遠くからでも、言葉が違っても、ここには心を込めて迎えてくれる料理人がいます。旅の途中で出会うその一皿が、あなたの中に新しい十勝の記憶を刻むでしょう。












